名ばかり管理職
管理監督者には、役職手当が支払われ、その代わりに残業手当や休日出勤手当を支払わないという実態がありますが、労働実態から、明らかに管理監督者に相当しないであろう管理職に対しても、こうした手当が行われているため、訴訟が起こるケースが、近年においては多く見られます。
ファーストフード店やコンビニなどにおいて、店長という役職は、そこで働く従業員をまとめ、店の運営を行っていることから、管理職という位置付けをしている会社が多く存在します。しかし、店長自身が運営をしているわけではなく、そこに並ぶ商品の決定や労働時間の決定、最終的人事の決定などの業務は、そのファーストフード店やコンビニを運営している会社で行われています。つまり、店長は、その指示に従って労働している労働者ということになります。また、店長とは言っても、業務は店員と殆ど同じであり、更に、店長としての責任業務も加わり、労働時間、労働業務もさることながら、出退勤の自由も認められていません。こうした業務実態があるにも関わらず、こうした役職に就いている人を管理職という扱いにし、役職手当以外の手当を支払わないという実態があり、訴訟を起こすケースが増えています。
会社側がこうした扱いをしているのには、会社経営におけるコストの削減に要因があります。残業手当などを支払う為には、会社の利益から来る資金が必要になります。しかし、利益が出た分を全ての人に当てていては、コストは減りません。そこで、残業手当などよりも少なくて済む役職手当を支給し、経営を行っているのです。役職手当を支給するには、管理職にしなければなりません。そこで、店長や係長といった割と地位の高い役職の人材に対して、名ばかりの管理職を与えているのです。